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テキスト処理

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本章では JavaScript で文字列やテキストを操作する方法を紹介します。

文字列

JavaScript の文字列型はテキストデータを表すために使われます。テキストデータ型は 16 ビット符号なし整数値からなる「要素」の集合体です。文字列の各要素が、文字列内での所定の位置を占めています。最初の要素のインデックスは 0 で、次の要素のインデックスは 1 、といった具合に。文字列の長さはその要素数となります。文字列リテラルか文字列オブジェクトを使用して文字列を生成できます。

文字列リテラル

単一引用符または二重引用符のいずれかを使用して、単純な文字列を作成できます :

'foo'
"bar"

また、エスケープシーケンスを使用してより高度な文字列を作成できます :

16 進数エスケープシーケンス

\x の後の数値は 16 進法による数として解釈されます。

'\xA9' // "©"

Unicode エスケープシーケンス

Unicode エスケープシーケンスは \u の後に少なくとも文字が 4 個必要です。

'\u00A9' // "©"

Unicode コードポイントエスケープ

ECMAScript 6 の新機能です。Unicode コードポイントエスケープを使えば、どんな文字でも 16 進数を使用してエスケープすることができます。これにより、0x10FFFF まで Unicode コードポイントを利用できます。単純な Unicode エスケープを使用して同じことを行うには、多くの場合要素を半分に分け、サロゲートペアにする必要があります。

String.fromCodePoint()String.prototype.codePointAt() も参考にしてください。

'\u{2F804}'

// the same with simple Unicode escapes
'\uD87E\uDC04'

String オブジェクト

String オブジェクトは文字列プリミティブデータ型のためのラッパです。

var s = new String("foo"); // 文字列オブジェクトを作る
console.log(s); // オブジェクトの内容が表示される: { '0': 'f', '1': 'o', '2': 'o'}
typeof s; // 'object' を返す

文字列リテラル値上でも String オブジェクトのメソッドを呼び出すことができます ― JavaScript は自動的に文字列リテラルを一時的な String オブジェクトに変換し、メソッドを呼び出すと、その後一時的に作られた String オブジェクトを破棄します。 文字列リテラルでは String.length プロパティも利用できます。

String オブジェクトを使用する明確な必要性がなければ、文字列リテラルを使用してください。というのも、String オブジェクトは直感的でない振る舞いをします。例えば :

var s1 = "2 + 2"; // 文字列リテラル値を作成
var s2 = new String("2 + 2"); // 文字列オブジェクトを作成
eval(s1); // 数値の 4 を返す
eval(s2); // 文字列 "2 + 2" を返す

String オブジェクトには文字列内の文字数を表すプロパティ length があります。例えば次のコードでは、"Hello, World!" は 13 文字なので、x には値 13 が代入されます :

var mystring = "Hello, World!";
var x = mystring.length;

String オブジェクトはさまざまなメソッドを持っています: 例えば、substringtoUpperCase のような文字列自体のバリエーションを返すメソッドがあります。

次の表は String オブジェクトのメソッドをまとめたものです。

String のメソッド

メソッド 説明
charAtcharCodeAtcodePointAt 文字列内の指定された位置の文字または文字コードを返します。
indexOf, lastIndexOf それぞれ、文字列内にある指定された部分文字列の先頭位置、および末尾の位置を返します。
startsWith, endsWith, includes 文字列が指定した文字列で始まるか、終わるか、それを含むかどうかを返します。
concat 2 つの文字列をテキストとしてつなげた新しい文字列を返します。
fromCharCode, fromCodePoint 指定の Unicode 値シーケンスから文字列を構築します。これは、String インスタンスではなく、String クラスにあるメソッドです。
split 文字列を部分文字列へと分けることで、String オブジェクトを文字列の配列に分割します。
slice 文字列の一部分を取り出し、新しい文字列を返します。
substring, substr 開始インデックスから終了インデックスまで、または開始インデックスと長さ、このいずれかを指定することで文字列における特定の部分集合を返します。
match, replace, search 正規表現と共に機能します。
toLowerCase, toUpperCase

それぞれ、すべて小文字またはすべて大文字にした文字列を返します。

normalize 呼び出し元となる文字列値の Unicode 正規化形式を返します。
repeat 所定回数繰り返したオブジェクト要素からなる文字列を返します。
trim 文字列の先頭と末尾から空白文字を取り除きます。

マルチラインテンプレート文字列

テンプレート文字列は式を埋め込むことができる文字列リテラルです。複数行の文字列や文字列の補間機能で使用することができます。

テンプレート文字列は二重引用符または一重引用符のかわりにバックティック (` `) (抑音アクセント)文字で囲まれています。テンプレート文字列にはプレースホルダーを含めることができます。プレースホルダーはドル記号と波括弧 (${expression}) によって示されます。

マルチライン

ソースに挿入されたいかなる改行文字も、テンプレート文字列の一部となります。通常の文字列を使って複数行の文字列を取得するには、次のような構文を使用しなければなりません :

console.log("string text line 1\n\
string text line 2");
// "string text line 1
// string text line 2"

複数行の文字列と同じ結果を得たければ、テンプレート文字列を使って下記のように書くことができます :

console.log(`string text line 1
string text line 2`);
// "string text line 1
// string text line 2"

組み込み式

通常の文字列内に式を埋め込むには、次のような構文を用います :

var a = 5;
var b = 10;
console.log("Fifteen is " + (a + b) + " and\nnot " + (2 * a + b) + ".");
// "Fifteen is 15 and
// not 20."

テンプレートの文字列を使えば、シンタックスシュガーを利用してこの置換をより読みやすくすることができます。:

var a = 5;
var b = 10;
console.log(`Fifteen is ${a + b} and\nnot ${2 * a + b}.`);
// "Fifteen is 15 and
// not 20."

詳細については、JavaScript リファレンス内のテンプレート文字列をご覧ください。

国際化

Intl オブジェクトは ECMAScript 国際化 API のための名前空間です。ECMAScript 国際化 API は、各言語に応じた文字列比較、数値フォーマット、日時フォーマットを提供します。CollatorNumberFormatDateTimeFormat オブジェクトのコンストラクタは Intlオブジェクトのプロパティとなっています。

日時フォーマット

DateTimeFormat オブジェクトは日時をフォーマットするのに便利です。次の例では、日付をアメリカ英語のフォーマットにします(結果は別のタイムゾーンで異なります)。

var msPerDay = 24 * 60 * 60 * 1000;
 
// July 17, 2014 00:00:00 UTC.
var july172014 = new Date(msPerDay * (44 * 365 + 11 + 197));

var options = { year: "2-digit", month: "2-digit", day: "2-digit",
                hour: "2-digit", minute: "2-digit", timeZoneName: "short" };
var americanDateTime = new Intl.DateTimeFormat("en-US", options).format;
 
console.log(americanDateTime(july172014)); // 07/16/14, 5:00 PM PDT

数値フォーマット

NumberFormat オブジェクトは数値、例えば通貨をフォーマットするのに有用です。

var gasPrice = new Intl.NumberFormat("en-US",
                        { style: "currency", currency: "USD",
                          minimumFractionDigits: 3 });
 
console.log(gasPrice.format(5.259)); // $5.259

var hanDecimalRMBInChina = new Intl.NumberFormat("zh-CN-u-nu-hanidec",
                        { style: "currency", currency: "CNY" });
 
console.log(hanDecimalRMBInChina.format(1314.25)); // ¥ 一,三一四.二五

照合

Collator オブジェクトは文字列を比較しソートするのに便利です。

例えば、ドイツ語には二つの異なるソート順、phonebook(電話帳順)と dictionary(辞書順)が存在します。電話帳順ソートは音を強調し、ソート前に “ä”、“ö” といった文字があたかも “ae”、“oe” などであるかのように解釈されます。

var names = ["Hochberg", "Hönigswald", "Holzman"];

var germanPhonebook = new Intl.Collator("de-DE-u-co-phonebk");

// ["Hochberg", "Hoenigswald", "Holzman"] としてソートされる:
console.log(names.sort(germanPhonebook.compare).join(", "));
// "Hochberg, Hönigswald, Holzman" がログ出力される

ドイツ語の単語の中にはウムラウト記号によって変化するものがあるため、辞書順では(schön の前は schon といったような、ウムラウトのみ異なるような単語をソートする場合を除けば)ウムラウトを無視してソートするのが賢明です。

var germanDictionary = new Intl.Collator("de-DE-u-co-dict");

// ["Hochberg", "Honigswald", "Holzman"] としてソートされる:
console.log(names.sort(germanDictionary.compare).join(", "));
// "Hochberg, Holzman, Hönigswald" とログ出力される

Intl API の詳細については、Introducing the JavaScript Internationalization API もご覧ください。

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