コマンドラインオプションを使用して、Mozilla アプリケーションのさまざまな起動オプションを指定します。例えばプロファイルマネージャを迂回して、(複数のプロファイルを持っている場合は) 特定のプロファイルを開くために、コマンドライン設定オプションを使用することができます。また、どのコンポーネントをはじめに開くかなど、Mozilla アプリケーションをどのように起動するかも管理できますし、そのコンポーネントが起動したとき何をするかも指定することができます。このページでは、一般的に利用できるオプションや、それらをどのように使うかを解説します。
構文規則
始めに、すべてのオプションに適用される構文規則を説明します。
- 空白の入っているパラメータをコマンドに使用する場合は、引用符で囲ってください。例: "Joel User"
- コマンドアクションでは、大文字・小文字は関係ありません。
- プロファイル名以外のコマンドパラメータでは、大文字・小文字は関係ありません。
- 空白 ( ) はコマンドとパラメータとを切り離します。
- 各メッセージオプションは、
フィールド=値
のように構文の後に続きます。例えば:to=
[email protected]
subject=cool page
attachment=www.mozilla.org
attachment='file:///c:/test.txt'
body=check this page
- 複数のメッセージオプションは、例えば
"[email protected],subject=cool page"
のように、カンマ (,) で切り離します。カンマの前後に空白 ( ) を入れてはいけません。ひとつの欄に複数の値を割り当てるには、"to='[email protected],[email protected]',subject=cool page"
のように引用符 (') でくくってください。
コマンドオプションの使い方
コマンドラインオプションは、アプリケーションを起動するコマンドの後に入力します。引数を持つコマンドもあります。引数は、コマンドラインオプションの後に入力します。省略形を持つコマンドもあります。例えば、コマンドラインオプション "-editor" は "-edit" と省略できます (使用できる省略形については後述します)。また、引数はを引用符で括らなければならない場合があります (オプションの説明で言及します)。複数のコマンドラインオプションを指定できます。通常、構文は以下のようになります:
application -option -option "argument" -option argument
例
以下は "-ProfileManager" コマンドを使用して、Firefox や Thunderbird のプロファイルマネージャを開くコマンドラインオプションの例です:
Windows
Windows のスタートメニューから [ファイル名を指定して実行] を選択します。次のように入力します。
firefox -ProfileManager
Mac OS X
アプリケーションフォルダのユーティリティに移動します。ターミナルを開いて次のように入力します。
cd /Applications/Firefox.app/Contents/MacOS ./firefox -ProfileManager
Firefox Nightly を使用している場合は、次のように入力できます。
cd /Applications/FirefoxNightly.app/Contents/MacOS ./firefox -ProfileManager
Linux
ターミナルを開いて次のように入力します。
cd Thunderbird installation directory ./thunderbird -ProfileManager
上記の例は、Mozilla の Thunderbird メールクライアントで "-ProfileManager" コマンドラインオプションを呼び出しています。
ユーザプロファイル
-CreateProfile profile_name
デフォルトのディレクトリに新しいプロファイルを作成します。ただしアプリケーションは起動されません。プロファイルは、プロファイルマネージャで profile_name
と名前がつきます。profile_name には空白 ( ) は使えません。この操作を成功させるには実行中のアプリケーションインスタンスが存在しないか、-no-remote
オプションを使用しなければなりません。
firefox -CreateProfile JoelUser
-CreateProfile "profile_name profile_dir"
profile_dir
ディレクトリに新しいプロファイルを作成します。ただしアプリケーションは起動されません。プロファイルは、プロファイルマネージャで profile_name
と名前がつきます。profile_name
と profile_dir
は引用符で囲ってください。また、1 個の空白で区切ってください (前の構文と同じく、profile_name
に空白は使えません)。
この操作を成功させるには実行中のアプリケーションインスタンスが存在しないか、-no-remote
オプションを使用しなければなりません。
注: profile_dir
や profile_name
というプロファイルが存在する場合はエラーになります。
firefox -CreateProfile "JoelUser c:\internet\joelusers-moz-profile"
-ProfileManager
プロファイルマネージャを起動します。短縮形: -P でプロファイル名を指定しない。
-P "profile_name"
プロファイルマネージャを迂回して、profile_name と名前の付いたプロファイルでアプリケーションを立ち上げます。複数のプロファイルを使い分ける際に便利です。profile_name は大文字・小文字を区別します。ご注意ください。プロファイル名を指定しない場合は、代わりにプロファイルマネージャを開きます。7.x より古いバージョンは、Linux では小文字の p は Purify モード(メモリリーク検出)での起動となるので、大文字の P を使用する必要があります。他のプラットフォームでは大文字と小文字両方が使えます。
firefox -P "Joel User"
-profile "profile_path"
指定されたパスにあるプロファイルで起動します。Firefox、Thunderbird、SeaMonkey2.x のみ。
"profile_path"
は、絶対パス ("/path/to/profile"
) または相対パス ("path/to/profile"
) を使用できます。
-new-instance
実行中のインスタンスの新しいウィンドウではなく、新しいインスタンスを起動します。アプリケーションの複数のコピーを同時に実行できます。
firefox -new-instance -P "Another Profile"
注記: Windows では使用できません。バグ 855899 をご覧ください。
-no-remote
リモートコマンドを送受信しません。暗黙的に -new-instance も含みます。
firefox -no-remote -P "Another Profile"
-migration
設定移行ウィザードで起動します。
-override /path/to/override.ini
指定した override.ini
ファイルを読み込んで application.ini
(browser/app/application.ini
) をオーバーライドします。これは、以下のような override.ini
を読み込ませることで、起動時の設定移行ウィザードを表示させないようにするのに利用できます。Firefox のみ。
[XRE] EnableProfileMigrator=0
ブラウザ
-browser
ブラウザコンポーネントを起動します。Firefox と SeaMonkey のみ。
-url URL
URL をユーザ設定に応じて新しいタブまたはウィンドウで開きます。-url
は省略可。空白区切りで複数の URL を指定できます。Firefox と SeaMonkey のみ。
firefox www.mozilla.com firefox www.mozilla.com developer.mozilla.org
-private
ユーザ設定に関わらなく、Firefox をプライベートウィンドウモードで開きます。Firefox 3.6 以降のみ。
Firefox 20 以降では、古い Ubuntu で機能しません。14.04 では機能することが確認されています。
-private-window
既存の Firefox のインスタンスで、新しいプライベートウィンドウを開きます。Firefox 20 以降のみ。
-private-window URL
URL を新しいプライベートウィンドウで開きます。すでにプライベートウィンドウを開いている場合は、既存のウィンドウで新しいタブが開きます。 Firefox 29 以降のみLinux Mint 17 の Firefox 31 では機能しません。プライベートではないウィンドウで開きます。
-new-tab URL
URL を新しいタブで開きます。Firefox と SeaMonkey2.x のみ。
-new-window URL
URL を新しいウィンドウで開きます。Firefox と SeaMonkey2.x のみ。
-search term
term を既定の検索エンジンで検索します。Firefox と SeaMonkey 2.1 以降のみ。
-preferences
オプション/環境設定ウィンドウを開きます。Firefox と SeaMonkey2.x のみ。
-setDefaultBrowser
アプリケーションを既定のブラウザに設定します。Firefox のみ。
-foreground
このインスタンスを、アクティブなアプリケーションにします。
メール/ニュース
-mail
メールクライアントを起動します。Thunderbird と SeaMonkey のみ。
-news
news_URL
ニュースクライアントを起動します。オプションである news_URL が与えられた場合、その指定されたニュースグループを開きます。Thunderbird と SeaMonkey のみ。
thunderbird -news news://server/group
-compose message_options
メール作成画面を起動します。構文規則 を参照してください。Thunderbird と SeaMonkey のみ。
thunderbird -compose "[email protected]"
-addressbook
アドレス帳を起動します。Thunderbird と SeaMonkey のみ。
-options
オプション/環境設定ウィンドウを開きます。Thunderbird のみ。
-offline
オフラインモードで起動します。Thunderbird と SeaMonkey のみ。
-setDefaultMail
アプリケーションを既定のメールクライアントに設定します。Thunderbird のみ。
カレンダー
-calendar
カレンダークライアントを起動します。Sunbird のみ。
-subscribe URL
or -url URL
与えられた URL を購読します。Sunbird のみ。
-showdate date
与えられた date のスケジュールを表示します。Sunbird のみ。
sunbird -showdate 08/04/2008
その他のコンポーネント
-editor URL
または -edit URL
与えられた URL に対して、エディタ (Composer) を起動します (URL はオプションです)。SeaMonkey のみ。
seamonkey -edit www.mozilla.org
-jsdebugger
ブラウザツールボックス (旧ブラウザデバッガ) とともにアプリケーションを起動します。これは Venkman デバッガとは異なります (-venkman オプションをご覧ください)。
-jsconsole
エラーコンソール、または Firefox ではブラウザコンソールを起動します。
-start-debugger-server port
Firefox のみ。port
で指定したポート番号で、デバッガサーバを起動します。別の Firefox のインスタンスが、開発ツールをこの Firefox のインスタンスに接続できるようにします。デスクトップ版 Firefox のデバッグを行う のページをご覧ください。
引数 port
は省略可能であり、省略した場合は 6000 番ポートで待ち受けます。
-inspector URL
DOM Inspector がインストールされている場合、DOM Inspector を起動し、与えられた URL を検査します (URL はオプションです)。
-venkman
JavaScript デバッガ Venkman がインストールされている場合、Venkman を起動します。
-purgecaches
Gecko (レイアウトエンジン) は JavaScript キャッシュを持っており、起動時にリセットされません。これを消去します。
-chat
IRC クライアント ChatZilla がインストールされている場合、ChatZilla を起動します。
XULRunner
-app /path/to/application.ini
path/to にある XULRunner アプリケーションを新しいプロセスで起動します。 バージョン 3 以上の Firefox のみ。
--register-global
すべてのユーザ向けに、システムで XULRunner を登録します。admin / root として実行しなければなりません。
--register-user
単独のユーザ向けに XULRunner を登録します。
--unregister-global
すべてのユーザで XULRunner の登録を解除します。
--unregister-user
単独のユーザで XULRunner の登録を解除します。
--install-app path/to/myapplication.(xpi|xulapp)
システムの path/to に、XULRunner アプリケーションをインストールします。アプリケーションはシステムの既定の場所 (program files|Applications|usr/lib) に vendorname/applicationName でインストールされます。アプリケーションは、各システムの一般的な手順でアンインストールできます。
"C:\Program Files\Mozilla XULRunner\1.8.0.4\xulrunner\xulrunner.exe" --install-app "C:\Users\Billdo\Desktop\myapplication.xpi"
/opt/xulrunner/1.8.0.4/xulrunner/xulrunner --install-app ~/Desktop/myapplication.xulapp
/Library/Frameworks/XUL.framework/xulrunner-bin --install-app ~/Desktop/myapplication.xpi
クローム
-chrome chrome_URL
指定されたクロームを読み込みます。
firefox -chrome chrome://inspector/content
-register chrome_URL
指定されたクロームを登録します。ただしアプリケーションは起動されません。
アドオン
-install-global-extension /path/to/extension
アプリケーションディレクトリに拡張機能をインストールします。パラメータは拡張機能へのパスになります。コンピュータの管理者権限が必要です。
-install-global-theme /path/to/theme
上と同様に、テーマをインストールします。コンピュータの管理者権限が必要です。
注記: Firefox 2.0.0.7 以降、コマンドライン引数 -install-global-extension
および -install-global-theme
は、ローカルディスクまたはマップ済みドライブ上にあるアドオンのインストールに限って利用できます。今後、ネットワーク共有ディレクトリからのインストールはサポートされません。
-safe-mode
今回の起動に限って、すべての拡張機能を無効化した状態でアプリケーションを起動します (拡張機能は読み込まれませんが、拡張機能マネージャのデータソースで恒久的に無効にされるわけではありません)。
ロケール
-UILocale locale
UI ロケールとして locale リソースを使って起動します。
firefox -UILocale en-US
リモートコントロール
-remote remote_command
この機能は Firefox 36.0 で削除、36.0.1 で復帰、さらに 39.0 で再び削除されました。バグ 1080319 をご覧ください。
すでに作動しているアプリケーションプロセス内で remote_command
を実行します。
firefox -remote "openURL(www.mozilla.org, new-tab)"
このオプションは X-Window Unix プラットフォームのみで使用できます。
その他
-tray
システムトレイに最小化してアプリケーションを起動します。自動起動で役に立ちます。
-silent
デフォルトウィンドウを開きません。特定のウィンドウを開くコマンドライン引数と一緒に使うときに役に立ちますが、すでにデフォルトウィンドウが開いている場合は無効です。Firefox、Thunderbird3.x、SeaMonkey2.x のみ。
-console
デバッグコンソールとともにアプリケーションを起動します。Windows のみ。
-attach-console
メッセージのデバッグのために新しいウィンドウを開かず、アプリケーションを起動したウィンドウにデバッグコンソール向けのメッセージを書き込みます。Windows オペレーティングシステムのみサポートします。
-h
または -help
または -?
利用できる全てのコマンドラインオプションの一覧を表示します。Windows では |more
のようなリダイレクトと組み合わせた場合のみ機能します。ご注意ください (バグ 355889)。このオプションはコマンドラインでのみ利用可能です。
-v
または -version
アプリケーションのバージョンを表示します。Windows では |more
のようなリダイレクトと組み合わせた場合のみ機能します。ご注意ください (バグ 355889)。このオプションはコマンドラインでのみ利用可能です。
-osint
アプリケーションに OS のシェルから起動されたことを通知します。これはアプリケーションを起動するときに、呼び出し側が OS のシェルが提供するすべての機能を提供するときを除いて指定されるべきではありません。(バグ 384384)
-requestPending
アプリケーションにコマンドライン指定されたものと同じ URL を開く Windows DDE リクエストが存在することを通知します。これはアプリケーションを起動するときに、呼び出し側が OS のシェルが提供するすべての機能を提供するときを除いて指定されるべきではありません。(バグ 354005)
X11 オプション
以下のオプションは、Linux や他の Unix ベースシステムで X11/X.org ディスプレイおよびウィンドウシステム向けに構築および実行するアプリケーションのみで使用できます。
--display=DISPLAY
使用する X ディスプレイを設定します。
--class=WM_CLASS
アプリケーションが生成する X11 ウィンドウの WM_CLASS リソースクラスを設定します。
--sync
X コールを同期型にします。
--g-fatal-warnings
すべての警告を fatal にします。
文書化が必要な他のオプション
-print-xpcom-dir
-print-xpcom-dirlist
-kill
-killAll
-f
-ftimeout
-fwait
-unsetDefaultMail
- GTK options
参考資料
- クローム: コマンドライン
- コマンドライン機能のテストドキュメント (mozilla.org)
toolkit/xre/nsAppRunner.cpp
browser/components/nsBrowserContentHandler.js
suite/browser/nsBrowserContentHandler.js
mail/components/nsMailDefaultHandler.js
- インストーラのコマンドラインオプション
Original Document Information
- Author(s): Ben Goodger, Steffen Wilberg, Seth Spitzer, Daniel Wang
- Copyright Information: Portions of this content are © 1998–2007 by individual mozilla.org contributors; content available under a Creative Commons license | Details.