Firefox 3.5 では DNS prefetching が導入されました。これにより、 Firefox は文書中に埋め込まれたアンカーに加え、画像、CSS、JavaScript などの文書内で参照されている外部リソースの URL に対し、予めドメインの名前解決を行います。
このプリフェッチはバックグラウンドで行われるため、実際にリソースが必要となった際には既に名前解決が終了していることになります。これにより、例えばユーザーがリンクをクリックした際の待ち時間を減らすことができます。
背景
DNS による名前解決に必要な帯域幅は小さなものですが、それにかかる時間は非常に大きく、特にモバイル環境では顕著なものとなります。予め名前解決を行っておくことで、例えばユーザーがリンクをクリックした際に、ページが表示されるまでの待ち時間を大きく削減することができ、場合によっては秒単位の効果が現れる場合もあります。
Firefox での実装においては、実際のページコンテンツの取得と並行して DNS による名前解決が行われるため、名前解決に時間がかかっても実際のページコンテンツの取得に遅れが生じることはありません。
特にモバイル環境においては、 DNS プリフェッチによりページの読み込みにかかる時間が劇的に改善されます。例えば、多数の画像が表示されるページにおいて、画像が要求される前に名前解決が行われている場合では読み込み時間が 5% 以上削減されるでしょう。
ブラウザーでのプリフェッチ制御
通常、ユーザーはプリフェッチ機能に対して何ら設定する必要はありません。が、何らかの理由でプリフェッチ機能を無効にしたい場合は、 network.dns.disablePrefetch
を true
に設定してください。
また、既定では HTTPS にて読み込まれた文書に対する埋め込みリンクのホスト名は事前に解決されないように設定されています。これを変更するにはnetwork.dns.disablePrefetchFromHTTPS
を false
としてください。
コンテンツでのプリフェッチ制御
コンテンツ・プロバイダー側でもプリフェッチ機能をある程度制御することができます。これは、 Google Chrome が DNS プリフェッチをコントロールする 際の手法と互換性があります。
プリフェッチのオン・オフ
まず、サーバーはコンテンツの配信時に x-dns-prefetch-control
HTTP ヘッダを "off
" とすることで、DNS プリフェッチ機能をオプト・アウトとして(ユーザーの意志とは関係なく)実装することができます。
同様に個々の文書に対して制御を行うことも可能で、 meta
要素の http-equiv
属性を次のように設定することで実現できます:
<meta http-equiv="x-dns-prefetch-control" content="off">
逆に、 content
属性を "on
" とすることで、プリフェッチが有効になります。
特定のホスト名の名前解決を強制する
コンテンツ・プロバイダーは、文書内にアンカーを埋め込まずとも、特定のホスト名に対する DNS の事前解決を強制することができます。これは、 link 要素に以下のように記述します
:
<link rel="dns-prefetch" href="https://www.spreadfirefox.com/">
この例では、 Firefox は "www.spreadfirefox.com" について、予め名前解決を行うよう試みます。
また、 link 要素中に必ずしも完全なアドレスを記述せずとも、ホスト名の前に二つのスラッシュを加えることで名前解決が行われます:
<link rel="dns-prefetch" href="//www.spreadfirefox.com">
特定のホスト名について強制的に予め名前解決を行うというのは、次のような場合に有効と考えられます: トップページそのものでは参照されていないものの、サイト内の他のページでは頻繁に参照されている外部ドメインをトップページにて強制的に名前解決を行うことで、トップページ自体の速度向上は望めませんが、サイト全体でのパフォーマンス向上が期待できます。
参考文献